このページでは、遺言の作成で大切なことについてご紹介いたします。
目次
完璧な遺言を作成することは難しい
遺言は、作成する時の状況や気持ち、心情をもとに作成します。しかし、時が経過するにつれて遺言を作成した時の状況や気持ち、心情は変化するものです。
遺言の効力が生じるのは、遺言を作成した時ではなく、遺言を作成した方が亡くなった時です。遺言を作成した時から時が流れるにつれて、様々なことが変化していきます。財産の内容やその評価額に変化があるのは当然のことです。また、遺言を作成した時の気持ちや心情に変化が生じることもあるでしょう。
そのため、「遺言は1度作成すれば良い」のではなく、「作成後、定期的に見直すことがとても大切」です。
遺言を作成する際に注意したいこと
遺言を作成する際には、以下の点にご注意いただければと思います。
定期的に遺言を見直す
遺言は、財産の内容やその評価額を把握した上で、その財産を承継させる相手を決めて作成する必要があります。預貯金であれば額面通りで残高に変更が無ければ特に見直す必要は無いかもしれませんが、不動産などの評価額は時とともに変化しますので定期的な見直しが必要になります。
また、気持ちや心情に変化があった場合にも、以前作成した遺言を見直して改めて作成すべきか検討することがとても大切です。
推定相続人を把握しておく
推定相続人(すいていそうぞくにん)とは、今、自分が亡くなった場合に法律的に相続人となる方のことです。推定相続人は、遺言を作成される方の、出生までさかのぼる戸籍を取得することで把握することができます。
遺留分に気をつける
遺留分(いりゅうぶん)とは、相続人に認められる最低限の権利のことです。例えば、遺言を作成される方が、「全財産を友人のAに遺贈(遺言で贈与すること)する」という遺言を残していたとしても、法定相続人である配偶者は、遺留分に相当する財産を相続することを主張できます。
相続人の遺留分を侵害している遺言でも、遺言自体は有効です。しかし、遺留分を侵害された相続人には「遺留分減殺請求権(いりゅうぶんげんさいせいきゅうけん)」という権利があり、遺言を作成された方が亡くなられた後に争いが生じてしまうことがあるので注意が必要です。
遺言執行者を指定しておく
遺言執行者(遺言執行者)とは、遺言の内容を実現するための権利と義務を有する人のことです。相続財産目録を作成したり、各金融機関での預金解約手続き、法務局での不動産名義変更手続きなど、遺言の内容を実現するために必要な一切の行為をする権限を持ちます。
遺言の執行は専門性も高く、責任も重大です。可能であれば、親族に頼むのではなく行政書士や司法書士、弁護士などの専門家に依頼して遺言で指定しておく方が安心です。
大切な方への想いを「付言」に残す
付言(ふげん)とは、遺言において法律的な効力はありませんが、「遺言を書いた経緯」や「感謝の気持ち」などを記しておくものです。実は、この「付言」がとても大切になることが多いのも事実です。
遺言を作成した方がどんな気持ちでこの遺言を作成したのか、残された大切な方にどんな想いを伝えたいのか、それを記しておくことはとても大切なことです。
付言事項自体には法律的に効力はありませんが、遺言を記した経緯や感謝の念を伝えることで、遺言を実行してもらうには強い影響力があります。
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