戸籍を集めたら知らない兄弟がいた
ケーススタディ:相続~知らない相続人がいることが判明した~
相続手続を進めていくときには、戸籍謄本を集める必要があります。
このページでは、戸籍謄本を集めたら知らない相続人がいることが判明したケースを、事例をふまえて紹介いたします。
戸籍謄本が揃えば難なく手続きできるはず
亡くなった被相続人Aさんには、妻Bさんと長女Cさん、長男Dさんがいました。

Aさんが残した財産として、土地と建物・預貯金・自動車がありましたので、相続の手続きを進めていくに当たり、Aさんの出生から死亡までの戸籍謄本を集めることから始めました。
☛☛☛ 不動産の相続手続に必要な書類について詳しくはこちらのページもご覧ください
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生前Aさんは、何度か本籍地が変わっていましたが、広域交付制度がスタートしたこともあり、古い戸籍(改製原戸籍・除籍謄本)を集めるのもそこまで苦労しませんでした。
これで亡くなったAさんの相続手続を進めることができるものと安心していました・・・
書類が揃ってひと安心、と思いきや・・・
・・・ところが!
証明書類はすべて揃ったと思い、まずは金融機関の窓口に行き相続の手続きを進めようとしたところ、衝撃の事実を知るのでした。
古い戸籍謄本を辿っていくと、なんと、亡くなったAさんには離婚歴があり、前妻との間の子供であるFさんがいるので、Fさんの署名と捺印がないと手続きができないというのです。

この場合には、Aさんの前妻Eさんは当然のことながら相続人にならないものの、AさんとEさんとの間に生まれたFさんは相続人になります。
※ 続柄について
FさんはAさんとEさんとの間の「長男」、DさんはAさんとBさんとの間の「長男」ということであれば、FさんもDさんも、続柄はAさんの「長男」になります。
会ったことも聞いたこともない相続人・・・
戸籍謄本を集めてはじめて、会ったことも聞いたこともない相続人がいることが判明する理由としては、
今回の事例では、Aさんが、過去の離婚歴や子供がいることを家族に話していなかった、
Aさんが、前妻Eさんとの間の長男Fさんには相続権がないと勘違いしていたことなどが挙げられます。
なお、この場合には、Bさん・Cさん・Dさんに加え、Fさんにも遺産分割協議に参加してもらえるかどうか、まずは何とか連絡を取って確認する必要があります。
前妻との間に子供がいる場合は
前妻との間に子供がいるが、再婚した、または再婚して子供ができたというケースで、自分が亡くなったあと、遺された家族の負担を可能な限り減しておきたいという場合には、遺言書を作成しておくという方法が考えられます。
つまり、前妻Eさんとの間に長男Fさんがいるが、Bさんと再婚して長女Cさんと長男DさんがいるAさんは、遺言書を作成しておくという方法です。
また、作成する遺言書で遺言執行者を指定しておくと、実際に遺言の効力が生じた(遺言者である自分が死亡した)後、遺言の内容を実現させやすくなります。
☛☛☛ 「遺言執行者の権限と義務」について詳しくはこちらのページをご覧ください
まとめ
☛ 会ったことも聞いたこともない相続人がいると相続手続が困難になる場合がある
☛ 前妻との間に子供がいる場合は遺言書を作成しておいた方が良い場合も
なお、仮に遺言書を作成したとしても、将来、自分が亡くなり遺言執行者が遺言の内容を実現させる際には、自分が亡くなったことが前妻との間の子供にも伝えられます。
作成した遺言の内容として、前妻との間の子供に不利な内容、例えば、財産を相続させない内容であっても、前妻との間の子供には遺留分があることにも注意が必要です。
☛☛☛ 「遺留分」について詳しくはこちらのページをご覧ください
☛☛☛ 「遺言書を作成しておいた方が良いケース」について詳しくはこちらのページをご覧ください
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