相続人の中に未成年者がいる場合 ~自動車の相続~
普通自動車を所有されているかたが亡くなり、相続の手続きが必要になることがあります。
☛☛☛ 普通自動車の相続手続について詳しくはこちらをご覧ください
ただ、「相続人の中に未成年者がいる場合にはどうしたらよいか・・・」とお悩みのかたも多い様です。
例えば、亡くなったかた(被相続人)Aさんには、相続人として配偶者(夫または妻)Bさん、AさんとBさんの間に未成年の子Cさんがいる場合で、遺言書が無いケースです。
この場合には、被相続人Aさん名義の普通自動車を、配偶者Bさんの名義に変更したいと考えるかもしれません。
ただし、相続人の中に未成年者がいる場合で、親権者である父または母(Bさん)が、その子(Cさん)との間でお互いに利益が相反する行為(Bさんだけの名義に変更するなど)をするには、子(Cさん)のために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければなりません。
裁判所
特別代理人選任(親権者とその子との利益相反の場合)
https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_kazi/kazi_06_11/index.html
上記のケースで、未成年の子Cさんの特別代理人Eさんが選任されると、配偶者Bさんと特別代理人Eさんの間で遺産分割協議をおこなうことになります。
「相続人の中に未成年者がいる場合には、特別代理人の選任を家庭裁判所に請求して遺産分割協議をしないと、普通自動車の相続手続ができないのか・・・」
「普通自動車の相続手続は、未成年者が遺産分割協議ができる18歳の成年になるまで待つか・・・」
「すぐに売却しないにしても、このままでは自動車を売却したいときにできない・・・」
このようなケースでは、遺産分割協議によらない(未成年者の特別代理人の選任を家庭裁判所に請求しない)方法による相続手続も考えられます。
遺産分割協議によらない相続手続
相続手続の必要書類 ~不動産編~のページでも少し触れましたが
☛☛☛「相続手続の必要書類 ~不動産編~」について詳しくはこちらをご覧ください
普通自動車についても、遺産分割協議によらない法定相続による相続手続は可能です。
法定相続による相続の場合には、各相続人の法定相続分に応じた共有となります。
今回のケースで法定相続による相続手続をおこなうと、配偶者Bさんと未成年の子Cさんの法定相続分はそれぞれ2分の1なので、被相続人Aさん名義の普通自動車は、配偶者Bさんと未成年の子Cさんの各2分の1ずつの割合の共有となります。
法定相続による普通自動車の相続手続の際に必要な書類
ここでは、遺産分割協議によらない法定相続による普通自動車の相続手続の際に必要な書類をご紹介します。
- 旧所有者(被相続人)の戸除籍・原戸籍謄本(死亡までのもので相続人全員の確認ができるものすべて)※
- 相続人全員の戸籍謄本(被相続人の死亡日以後に取得したもの)※
- 新所有者(普通自動車を相続するかた)のうち、未成年者以外のかたの印鑑登録証明書(取得から3カ月以内のもの)
- 車検証(有効期限内のもの)
- 車庫証明書(普通自動車を相続するかたの住所が、車検証に記載の「使用の本拠の位置」と異なる場合)
- OCR申請書 様式第1号 ※ https://www.mlit.go.jp/common/001381476.pdf
- 手数料納付書
- 委任状(代理人が申請する場合は、普通自動車を相続するかたのうち、未成年者以外のかたの実印を押印したもの)
※ 法定相続情報一覧図があれば、戸除籍・原戸籍謄本の代わりとして代用が可能です。
☛☛☛「法定相続情報一覧図」について詳しくはこちらをご覧ください
※ OCR申請書 様式第1号の記入例
https://www.jidoushatouroku-portal.mlit.go.jp/assets/pdf/trk-ocr-sample002.pdf?t=1726188936794
そもそも未成年者が自動車の所有者になれるのか?
なお、「普通自動車の運転免許を取得していない未成年者が自動車の所有者になれるのか?」と疑問に思われるかたもいらっしゃるかもしれません。
しかし、結論から申し上げますと、未成年者も自動車の所有者になれます。運転免許の有無は、自動車の所有の可否に影響しません。
法定相続による相続手続が完了すると、電子車検証(従来のA4サイズのものではなくA6サイズ相当の厚紙)が交付されます。
電子車検証には共有者全員の氏名は記載されませんが、「自動車検査証記録事項」を確認すると、備考欄に共有者の氏名と住所が記載されていることが分かります。
未成年者と共有する自動車を売却したい場合は?
被相続人Aさん名義の自動車を、配偶者Bさんと未成年の子Cさんが、法定相続によって各2分の1ずつの割合の共有としたあとで、未成年の子Cさんが18歳未満の未成年者である間に売却したい場合、売却することは可能なのでしょうか?
この点も結論から申し上げますと、このケースで売却は可能です。
Bさんと未成年の子Cさんが売主となって売却をおこなうことになりますが、実際には、Bさんと未成年の子Cさんの親権者であるBさんの同意(結局のところBさんだけ)で売却に必要な手続きをおこなうことができます。
※ BさんとCさんの共有名義の自動車を売却する場合は、BさんとCさんのとの間でお互いに利益が相反する行為にはなりません。
これは不動産についても同じことが言えます。
☛☛☛「相続手続の必要書類 ~不動産編~」について詳しくはこちらをご覧ください
まとめ
☛ 法定相続によって普通自動車を相続することは可能
☛ 未成年者でも自動車を相続することはできる
当事務所では、相続のお手続き、遺言書の作成、任意後見・尊厳死宣言書に伴うご相談、文案作成、及び公証役場での諸手続を代行するサービスを行っております。ご相談は無料ですので、下記までお気軽にお問合せください。