夫の兄弟姉妹も相続人で遺産分割協議がまとまらない

ケーススタディ:相続~関係が良好ではない相続人がいる~

亡くなった被相続人が遺言書を残しておらず、相続人が複数人の場合には、相続人全員で遺産分割協議をおこなう必要があります。

このページでは、相続人の中に被相続人の兄弟姉妹がいて遺産分割協議がまとまらず、相続手続が進まないというケースを、事例をふまえて紹介いたします。

妻である私だけが相続人だと思っていた

亡くなった被相続人Aさんには、妻Bさんがいましたが子供はいませんでした。

亡くなったAさんの両親は既に亡くなっていたので、Bさんは自分だけがAさんの相続人であるとばかり思っていました・・・

まさかあなたも夫の相続人だなんて・・・

・・・ところが!

亡くなったAさんの姉Cさんから「相続の件はどうするつもり?」と言われ、Bさんはそのときはじめて自分だけがAさんの相続人ではないことを知ります。

亡くなったAさんに子供がおらず、両親・祖父母・曽祖父母・・・といった直系尊属が既に亡くなっている場合には、Aさんの兄弟姉妹が相続人になることを知らされたのでした。

つまり、亡くなったAさんの姉Cさんと兄Dさんも相続人になります。

関係が良好ではない相続人と遺産分割協議

亡くなったAさんは遺言書を残していませんでしたので、相続人である妻Bさん・Aさんの姉Cさん・兄Dさんの全員で遺産分割協議をおこなう必要がありました。

Bさんとしては、さすがに遺産分割協議に快く応じてくれる、「私(Bさん)がすべて相続する」という遺産分割の内容にまさか納得してくれるものだと期待していましたが、実際はそうではありませんでした・・・

被相続人の兄弟姉妹との遺産分割協議が難航する理由としては、

今回の事例では、生前Aさんと兄弟姉妹との関係が良好ではなかった、

Aさんの生前、妻BさんとAさんの兄弟姉妹との関係が良好ではなかった、

Aさんの死後、妻BさんとAさんの兄弟姉妹との関係が良好ではなくなってしまったことなどが考えられます。

子供がいない夫婦の場合は

子供がいらっしゃらないご夫婦は、夫は妻のために、妻は夫のために、それぞれ遺言書を作成しておくことが有効です。

つまり、AさんはBさんのために、BさんはAさんのために、遺言書を作成しておくという方法です。

また、作成する遺言書で遺言執行者を指定しておくと、実際に遺言の効力が生じた(遺言者である自分が死亡した)後、遺言の内容を実現させやすくなります。

☛☛☛ 「遺言執行者の権限と義務」について詳しくはこちらのページをご覧ください

まとめ

☛ 関係が良好ではない相続人がいると相続手続が難航しやすい

☛ 子供がいない夫婦は遺言書を作成しておいた方が良い

なお、今回のようなケースで、仮に遺言書を作成したとしても、将来、自分が亡くなり遺言執行者が遺言の内容を実現させる際には、自分が亡くなったことが兄弟姉妹にも伝えられます。

しかし、兄弟姉妹には遺留分がありませんので、自分が亡くなったあと配偶者が自分の兄弟姉妹と遺産分割協議で揉めるといったトラブルを未然に防ぐことができます。

☛☛☛ 「遺留分」について詳しくはこちらのページをご覧ください

☛☛☛ 「遺言書を作成しておいた方が良いケース」について詳しくはこちらのページをご覧ください

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