遺言書の相続人や受遺者が先に死亡したらどうなるのか?
遺言書で財産の受取人として指定されたかた(相続人や受遺者)が、遺言書を作成したかた(遺言者)よりも先に亡くなってしまう場合があります。
このような場合に、相続人の相続人や、受遺者(じゅいしゃ)の相続人は、遺言者が作成した遺言書に記載された遺産を相続することができるのでしょうか。
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このページでは、遺言書で財産の受取人として指定された相続人や受遺者が、遺言者よりも先に亡くなったらどうなるのかを紹介いたします。
相続人や受遺者が遺言者よりも先に死亡したらどうなる?
遺言書で財産の受取人として指定された相続人や受遺者が遺言者よりも先に死亡した場合には、遺言書のうち、死亡した相続人や受遺者が受け取るはずであった部分については、無効となります。
民法 第985条 第1項
遺言は、遺言者の死亡の時からその効力を生ずる。
民法 第994条 第1項
遺贈は、遺言者の死亡以前に受遺者が死亡したときは、その効力を生じない。
遺言書は、遺言書を作成した遺言者が死亡したときから効力が生じます。相続人や受遺者が遺言者よりも先に亡くなった場合には、相続人や受遺者が受け取るはずであった部分については遺言書の効力が生じません。
例えば、遺言者Aが、遺言書で相続人Bと受遺者Cを財産の受取人として指定したというケースで、相続人Bや受遺者Cが遺言者Aよりも先に死亡した場合には、遺言書のうち、相続人Bや受遺者Cが受け取るはずであった部分については無効となります。
先に死亡した相続人や受遺者の相続人が相続できる?
相続人や受遺者が遺言者よりも先に死亡した場合に、相続人や受遺者が受け取るはずだった部分について遺言書が無効となる以上、相続人の相続人や受遺者の相続人は、相続人や受遺者が受け取るはずであった遺産を相続することはできません。
例えば、遺言者Aが、遺言書で相続人Bと受遺者Cを財産の受取人として指定したというケースで、受遺者Cが遺言者Aよりも先に死亡した場合には、遺言書のうち、受遺者Cが受け取るはずであった部分については無効となりますが、
遺言書のうち、受遺者Cが受け取るはずであった部分について無効である以上、受遺者Cが受け取るはずであった遺産を、受遺者Cの相続人が相続することはできません。
この場合には、受遺者Cが受け取るはずであった遺産については、遺言者Aの法定相続人全員で遺産分割協議をおこない、誰が相続するか決める必要があります。
相続人や受遺者が遺言者よりも先に死亡することへの備え
遺言書で財産の受取人として指定された相続人や受遺者が、遺言者よりも先に亡くなってしまう場合に備えて、作成する遺言書の内容を工夫することもできます。それは、遺言書に予備的遺言(補充遺言)を加えておくという方法です。
予備的遺言(補充遺言)により、相続人や受遺者が遺言者よりも先に亡くなってしまった場合に、例えば、相続人や受遺者の子を財産の受取人として指定しておくことができます。
☛☛☛ 予備的遺言(補充遺言)について詳しくはこちらのページをご覧ください
まとめ
☛ 相続人や受遺者が遺言者よりも先に死亡すると、相続人や受遺者が受け取るはずだった部分については遺言書が無効になる
☛ 相続人の相続人は、死亡した相続人が受け取るはずだった財産について当然には相続しない
☛ 遺言書のうち無効となった部分については、法定相続人が遺産分割協議をおこなう必要がある
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