このページでは、任意後見契約について、みなさまからご相談いただいた際のよくあるご質問をご紹介いたします。
目次
Q:「後見」とは何ですか?
法律上の後見は、後見人に財産管理や日常取引の代理などを行ってもらうことによって、保護を必要とする人を守る制度をいいます。
法律上の後見には、「法定後見」と「任意後見」があります。法定後見は、精神障害や認知症などによって判断能力が低下した後に、裁判所の手続によって後見人が選ばれて後見が開始する制度です。それに対して任意後見は、将来的に保護を必要とする人が、自分の意思で後見人とあらかじめ契約を結んでおく制度です。
Q:任意後見契約はどのようなものですか?
任意後見契約は、委任契約の一種で、委任者が受任者に対して、将来認知症などで自分の判断能力が低下した場合に自分の後見人になってもらうことを委任する契約です。
自分が元気なうちに、将来、自分の判断能力が低下した場合に備えて、自分が信頼できる人に財産管理や必要な契約締結などをお願いしておく契約が、任意後見契約です。
Q:任意後見契約は必要ですか?
認知症などで判断能力が低下した場合には、法定後見の制度により裁判所に後見人を選任してもらうこともできます。しかし、法定後見では、本人は裁判所が選任する後見人と面識がないこともありえます。
自分が信頼する人に確実に後見人になってもらいたい場合には、その方と任意後見契約を締結することが必要です。
Q:任意後見契約には何が必要ですか?
任意後見契約を締結するには、「任意後見契約に関する法律」により、公正証書でしなければならないことになっています。
任意後見契約で必要な書類
・本人:印鑑登録証明書、戸籍謄本、住民票
・任意後見受任者:印鑑登録証明書、住民票
任意後見契約で必要な費用
・公証役場の手数料:1万1,000円
・法務局に納める印紙代:2,600円
・法務局への登記嘱託料:1,400円
・書留郵便料:約540円
・正本謄本の手数料:250円×枚数
Q:任意後見人は何をしてくれますか?
任意後見人の仕事は、大きく分けて2つあります。1つは本人の「財産の管理」です。自宅等の不動産や預貯金等の管理、年金の管理、税金や公共料金の支払いなどです。もう1つは、「介護や生活面の手配」です。要介護認定の申請等に関する諸手続、介護サービス提供機関との介護サービス提供契約の締結、介護費用の支払い、医療契約の締結、入院の手続、入院費用の支払い、生活費を届けたり送金したりする行為、老人ホームへ入居する場合の体験入居の手配や入居契約を締結する行為などです。
Q:任意後見人の仕事はいつから始まりますか?
本人の判断能力が低下した場合に、任意後見人になることを引き受けた任意後見受任者や親族などが、家庭裁判所に対して「任意後見監督人」の選任を申立てます。そして、家庭裁判所が任意後見人を監督すべき「任意後見監督人」を選任すると、任意後見受任者は「任意後見人」として、契約に定められた仕事を開始することになります。
任意後見人に、著しい不行跡その他任務に適しない事由が認められたときは、家庭裁判所は、本人、親族、任意後見監督人の請求により任意後見人を解任することができることになっています。
Q:任意後見人には誰がなれますか?
成人であれば親族や友人など、誰でも任意後見人になることができます。ただし、法律がふさわしくないと定めている方(破産者、本人と訴訟をした者、不正な行為、著しい不行跡その他任意後見人の任務に適しない事由のある者など)は任意後見人になることができません。
Q:判断能力が低下する前から財産管理などをお願いしたい場合はどうしたら良いですか?
任意後見人の仕事はご本人の判断能力が低下してから開始します。ご本人の判断能力が低下する前から財産管理などをお願いしたい場合には、通常の委任契約を締結する必要があります。
通常の委任契約と、任意後見契約の両方を組み合わせて締結しておくという方法もあります。
Q:任意後見契約は解除することはできますか?
任意後見契約は途中で解除することができます。
任意後見監督人が選任される前
公証人の認証を受けた書面によっていつでも解除できます。
合意解除の場合には、合意解除書に認証を受ければすぐに解除の効力が発生し、当事者の一方からの解除の場合は、解除の意思表示のなされた書面に認証を受け、これを相手方に送付してその旨を通告することが必要です。
任意後見監督人が選任された後
任意後見監督人が選任された後は、正当な理由があるときに限り、かつ、家庭裁判所の許可を受けて解除することができます。
任意後見人について任務に適しない事由が認められるときは、家庭裁判所は、本人、親族、任意後見監督人の請求により、任意後見人を解任することができることになっています。
当事務所では、任意後見に伴うご相談、文案作成、及び公証役場での諸手続を代行するサービスを行っております。ご相談は無料ですので、下記までお気軽にお問合せください。
また、もし、お元気なうちから財産管理を任せたいという場合には、あわせて「財産管理委任契約」を締結する必要がございます。
ご家族がいらっしゃらない方で、任意後見人となってくれる人が見つからない場合には、当事務所の行政書士が「任意後見契約受任者」として就任することも含めて相談を承っております。