このページでは、成年後見制度のうち、任意後見制度についてご紹介いたします。

任意後見制度とは?

任意後見制度は、本人に十分な判断能力があるうちに、将来、判断能力が不十分な状態になった場合に備えてあらかじめ自らが選んだ代理人(任意後見人)に、自分の生活、療養看護や財産管理に関する事務について代理権を与える契約(任意後見契約)を公証人の作成する公正証書で結んでおくというものです。

そうすることで、本人の判断能力が低下した後に、任意後見人が任意後見契約で決めた事務について、家庭裁判所が選任する「任意後見監督人」の監督のもと本人を代理して契約などをすることによって,本人の意思に従った適切な保護・支援をすることが可能になります。

任意後見制度の流れ

任意後見制度を利用する際の流れは以下のようになります。

① 将来認知症になった時の備えを検討

② 信頼できる人と任意後見契約を締結

③ 認知症の症状がみられるようになった

④ 家庭裁判所に申し立て

⑤ 任意後見人が任意後見契約で定められた仕事を行う

任意後見契約のポイント

判断能力が十分に備わっている状態で契約を締結する

法定後見制度では、既に判断能力が低下している状態で申し立てがなされるため、法定後見人に対して様々な要望を伝えることはできませんが、任意後見契約であれば、まだ判断能力が十分に備わっている状態で締結するため、あらかじめ要望を細かく定めておくことが可能です。

公正証書で契約を締結する必要がある

任意後見制度を利用する場合には、「任意後見契約に関する法律」に基づいて、任意後見契約を希望する方と受任予定の方が2人で公証役場に行き、公正証書で契約を締結する必要があります。

任意後見契約公正証書にかかる費用

・公正証書の手数料:11,000円

・登記嘱託手数料:1,400円

・登記所に納付する印紙代:2,600円

・その他証書代や郵送代

契約を締結した時点では、受任者の権限は発生しない

任意後見契約は、将来、判断能力が低下した時に備えて締結するものです。契約の時点では判断能力が十分に備わっているため、何も効力は発生しません。効力が発生するのは任意後見契約を締結した後、判断能力が低下した際に、家庭裁判所から「任意後見監督人」が選任されてから始まります。 任意後見監督人には、任意後見人(受任者)の仕事を監督する役割があります。

任意後見制度の長所と短所

任意後見制度の長所

・本人の判断能力が低下する前に契約を締結するため、本人が自由に任意後見人を選ぶことができる

・契約の内容が登記されるため、任意後見人の地位が公的に証明される

・家庭裁判所が任意後見監督人を選任するため、任意後見人の仕事をチェックできる

任意後見制度の短所

・死後の処理を委任することはできない

・法定後見制度のような取消権が無い

※行為を取り消したい場合には、任意後見制度から法定後見制度へ移行する必要があります。

☛☛☛「法定後見制度」についてはこちらをご覧ください

当事務所では、任意後見に伴うご相談、文案作成、及び公証役場での諸手続を代行するサービスを行っております。ご相談は無料ですので、下記までお気軽にお問合せください。

また、もし、お元気なうちから財産管理を任せたいという場合には、あわせて「財産管理委任契約」を締結する必要がございます。

ご家族がいらっしゃらない方で、任意後見人となってくれる人が見つからない場合には、当事務所の行政書士が「任意後見契約受任者」として就任することも含めて相談を承っております。